数日前の日経新聞文化欄に目が止まった。“チェルノブイリに滞在、旧ソ連の残像を撮る”中筋純さんの文章だった。
チェルノブイリの写真は広河隆一さんは言うまでもなく、日本の著名なフォトジャーナリストたちがそれぞれに写真を撮っている。また、学者、研究者、医師など専門家も多数チェルノブイリを訪れている。
中筋純? 聞いたこともない人だった。
それもそのはず、アパレル広告を生業にしている写真家だった。写真ももともとやっていた人ではなく、旅行誌編集などを経て独自に学んだということだ。
今、廃墟ブームとか。少し前、人気俳優の福山雅治さんが廃墟を写した写真展のことでテレビに出ていた。
中筋さんも「全国津々浦々の廃墟を探して写真を撮っているうちに深みにはまった」そうだ。そして究極の廃墟ではないか、と思い至ったのがチェルノブイリであり、その原発城下町のプリピャチだったのだ。
「晩秋に訪れたウクライナはりんごの実がたわわに実り、ポプラの木が鮮やかな黄に染まっていた」と書いている。
そういえば、広河さんの今年のカレンダー(10月)にも、まっ黄色な落ち葉の間を歩く男性と犬の写真がある。
http://homepage2.nifty.com/chernobyl_children/calendar/calendar2008.html
廃屋を みごとに彩る 木々の紅葉
一人の男と 一匹の犬が
金色にかがやく道を しずかに あるいていく
(詩 石川逸子)
そういう世界なのだ。
「帰国後、廃墟とともに木々の鮮やかな色が印画紙上に浮かび上がった瞬間、心の震えがよみがえり、多くの人に見せなければ、との思いを強くした」
写真集は『廃墟チェルノブイリ』(二見書房)として出版されている。
何をきっかけでもよい。チェルノブイリのことを核の恐ろしさを知ってもらうのはうれしい。
しかし気になることが書いてあった。
それは、プリピャチに1週間も滞在した、ということ。
現地のガイドからは「これほど長く滞在したのはあなたが初めて」と言われた、と。
「ぜひ、再訪したい」と文章を結んでいたが、ぜひ、短い日程にしてほしいと願っている。
0 件のコメント:
コメントを投稿