参院選が終わった。
選挙終盤のマスメディアの下馬評通りだった。
ネットやミニコミは違った感触であったがやはり少数派なのか。
がっかりして早々に寝てしまった。
一夜明けて、社民党が2人になっている。
もしや? と思っていろいろ結果を探してみたが
応援していた保坂のぶとさんではなかった。
残念至極だが、2人目は吉田忠智さんという大分県議出身の新人だった。
敬愛する作家・松下竜一さんが健在だったらきっと応援していたと
思うので、祝福したい。
もう一人応援していた、新潟選挙区の近藤まさみちさんも落選。
民主党の推薦を受けたのがアダとなったかもしれない。
民主党がこんなに人気がなくなるとは、立候補のときにはまだ実感
できなかったのではないか。
脱原発議員として期待大だったのにこれも残念至極。
捲土重来を願っている。
さて、表題のとおり、母は選挙に行った。
何年振りか?
先週、母のところに行ったら、いま7月か?
選挙はいつだ? といきなり聞いてきた。
政治も選挙も何の関心もなく過ごしていたと思っていたのだが、
施設の大きなテレビで、耳は聞こえなくとも文字は見ることができるので
なにか考えたらしい。
かつて母は熱心な○○党支援者だった。
選挙のたびに日本全国の親類縁者に、電話をかけていた。
親類の間では母の行動は有名だった。
母が信心していた宗教はその党を応援することになっていて
母や同志たちにとって、その行為は当然だった。
認知症になりかけ寸前のころ、母の信じていた宗教は総本山のお寺と会長との
喧嘩が勃発して、2つに割れどちらにつくか大騒ぎになった。
母は私たち子どもに、「ハガキや手紙がお寺からきても私は絶対に
お寺にはつかないからね」と繰り返し念をおしていた。
わかっている、と言っても、また同じことを繰り返していた。
自分が知らぬうちにお寺側にとりこまれたらどうしよう、という
恐怖心があったようだ。
母が買った墓地は、お寺の敷地にあったので自然的に無になってしまった。
わずかな蓄えの中から、お墓を買ったときはとても喜んで
私たちも一緒にその墓地を見にいったことがある。
認知症になる人とならない人の差は何か?
それはわからないが、母の場合、いろんな要素が考えられる。
妹夫婦との軋轢、かわいがっていた孫の成長、難聴・・・
もうひとつ、大きな原因が、自分の信じていた宗教の分裂にあったと思う。
同じ信心をしていた妹は母に比べたらはるかに信心の度合いが薄く、
冷静に分析していた。
母の読む新聞や幹部から聞かされることばは、相手を攻撃することばで満ち満ちているから、これでは、精神も安らぐこともなく、妄想も膨らむ、と言っていた。
それでも4年ぐらい前まではまだ、ときどきお題目をあげていた。
しかし、今はまったくそれはなく母の口から××学会のことも
○○党のことも、話題になったことはなかった。
何週に1回、ときとしてはっとするような正気なときがある。
と言っても母にとっての正気だが。
それが選挙に行く、だったのだ。
自分にかつての同志Kさんから連絡があったと。
Kさんが、立つらしいね。
まだテレビには出てないみたいだけど、という。
Kさんは立たないよ。
Kさんから新潟の姉を通じて、連絡はあったのは事実。
母が選挙に行くとは誰も思っていなくて、埼玉の○○党の人は苦戦だから
妹さんに頼んでください、と言われたとか。
その電話を姉からもらったその日に、母を訪問したとき、件の選挙に行く、
という話がでたのでそのタイミングに正直驚いた。
ともあれ、せっかく母が行きたい、と言っているのでかなえてあげたいと思い、井戸端会議で話をしたら、ご近所さんが車を出してくれるという。
その日の状況によってはまったく行けないかもしれない、ということは覚悟していた。
昼食後だったので、起きていた。
ややボーッとしていたが、選挙に行くよと言ったら、いやいやながら着いてきた。
母のところと私のところは選挙する場所が違う。
付き添うのは始めてなのでどこまで許せるのか?はなはだ疑問だったが、なんとかなるだろうと指定された小学校に行き、用紙を受け取る。
何回かの本人確認、担当者は付き添いの私のほうを見る。
はい、と何回か私が答えた。
最初は埼玉県の選挙。
ちらっと名前を見たがよくわからないらしい。
ちょうど一番上にあったのが、中東専門家の人。
候補者の中では私自身が投票したいと思っていた2人のうちの一人。
その人の名前を書こうとしていたので、そうだね、と小さい声で読み返してあげた。
次は政党名を書くんだよ、と言うしかなかった。
そしたら○○党でと書けばいいか? と私に聞く。
いいんじゃないの?と私。
ここで論争していたら私はどうなるの?お縄?まさか?
ま、よくわからないけどやばいことはしないほうがよい。
党を堂と書いたので党はこの字だよ、と
一覧の文字から教えようとしたら、とたんに面倒になったらしく
じゃ、お前が書けば、ときた。
○○があってれば無効票になることもないだろう。
というわけで、無事、母は選挙権を行使できた。
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